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第4回 他社が成功したからといってマネをしてもダメ
(1996年9月19日)

クライアント企業が必ず欲しがるものがあります。それは他社の改善事例です。「守秘義務違反になるのでお話できません」と答えますと、そこを何とか教えて欲しいと言われます。実際、他社の改善事例を自慢げにぺらぺらとしゃべるコンサルタントもいます。改善事例を話すということは企業秘密を話すということです。こういうコンサルタントは当然あなたの会社の企業秘密も他社でしゃべることでしょう。

コンサルタントが守秘義務を厳守する人かどうかチェックするために、他社事例を教えて欲しいという企業さえあります。私は企業の許可を得た事例と公開された事例以外、絶対にお話しいたしません。それでも参考になる改善事例は山ほどあります。

いずれにしてもコンサルタントにとって、クライアント企業から信頼を失ったら仕事はできません。コンサルタントという職業柄、企業秘密を知る立場にありますし、知らなければ仕事ができないからです。医者が患者の体を知らなければ病気を治せないのと同じです。だからこそ、企業秘密を厳守する必要があるのです。

ところで、最近ベンチマーキングという言葉が流行しております。アメリカでは国を挙げて取り組んでいるそうです。簡単に言いますと、「ベンチマーキングとは優れた企業の仕事の仕方を学び、それを自社に取り入れること」です。大いに結構な話ですが実際には難しいと思います。なぜなら、どの企業も簡単には優れた仕事の仕方を明かさないからです。なぜなら、それは企業秘密だからです。ベンチマーキングに成功しているところは業務提携をしているのです。

仮に、他社の優れた仕事の仕方を知ったからといって、自社とは経営環境や経営資源が異なるので、そう簡単にはマネができるわけないのです。このことが分かっていない企業が多いようです。例えば、業務改革を考えてみれお分かりでしょう。他社の成功事例を知ったからといって、すぐにマネができますか?できないと思います。

業務改革に成功した企業を見てみると、どの企業もたいへんな自助努力を行っています。苦しい企業間競争の中で、いかに生き残るかの努力はまさに筆舌に尽くしがたしです。安易に他社のマネができると思ったら大違いです。さて、今回の話を整理するとポイントは次の3つです。

  1. 企業秘密はお互い厳守する。
  2. 他社の成功事例は安易にマネはできない。柳の下にどじょうはいない。
  3. 改革のためには懸命(命を懸ける)に自助努力する必要がある。

このための手助けをするのが経営コンサルタントです。

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