
第6回 1996年10月15日
『昔から活用されている管理技術は現代の外部環境および自社の経営資源に合うように創意工夫することが大切である』
企業のあらゆる改善改革に有効な技術に、IE(Industrial Engineering)とVE(Value Engineering)とがあります。どちらも長年活用されてきた技術です。ところが、近年、これらの技術はもう古いと言ったり、逆に、研究熱心なあまり本来の意義を忘れて枝葉末節にこだわったりして、せっかくの技術が生かされていないように思えます。そこで、今回は、これらの技術について私なりの考えを簡単に書いてみたいと思います。
- IEとは現状分析をして付加価値を生んでいるものとそうでないものとを区分し問題点を発見して改善に結びつける技術です。VEは目的と機能(役割、働き)を追及することによって、あるべき姿を描いたり、あるべき姿を再確認して現状とのギャップを発見し改善改革に結びつける技術です。つまり、IEは帰納的アプローチの技術であり、VEは演繹的アプローチの技術です。したがって、双方の特徴を生かしたアプローチを取ることによって効果的な改革改善が可能となります。
- IEは当初は生産現場で生まれ活用されてきましたが、現在ではあらゆる場面で使われております。たとえば、業務プロセス分析にはIEの工程分析の手法が活用されていますし、コンカレント分析にはガントチャートやPERTが使われています。また、業務時間測定や業務処理方法の研究はIEの独壇場といても良いでしょう。IEは本来、科学的に管理するための普遍的な道具ですからあらゆる対象に対しても活用できるのです。重要なのは、対象によって新しい考え方や分析手法を創意工夫して問題点を浮き彫りできるようにすることなのです。昔の方法をそのままの形で使って、IEは古いとか使えないと言っているのは、それこそその人の頭が古いのです。すでに100年も使われているIEの持つ科学的に管理するという考え方がいつの時代にも通用するのです。
- 一方、VEは価値工学と呼ばれているように、対象の目的と機能(役割)を追及することによって、本来の姿を再確認したり、あるべき姿を描いたりして対象の持つ現在価値を評価する技術ですからまさに普遍的な技術と言えるでしょう。ところが、VEにも多くの問題点があります。たとえば、あまりにも価値や機能にこだわっているために本来の考え方が生かされていないように思います。残念なことです。詳しくは次回に書いてみたいと思っております。
- IE、VE(VA、VM)、QC(TQC、TQM)など多くの管理技術がありますが、どれも重要なのはその思想、考え方なのです。手法に目を奪われたり、逆にこだわったりして本来の意義を見失ってしまってはならないと思います。アメリカで考え出されたこれらの手法は日本で花を咲かせたのですから、現代に合った新しい考え方や手法を工夫してもっと活用すべきだと思います。これによって、全く新しい管理技術も生まれるものと思います。