経営相談どっと混む

第2回 1996年8月12日

 『かっこいい言葉は本音を隠すことができるが、すぐ見抜かれるものである。』

 合理化、スリム化、減量経営、リストラ、これらはすべて本来の意味を離れ、人員削減の代名詞として使われてきました。リストラは新聞にも「リストラ(事業の再構築)」と明記されているにもかかわらず、リストラ=事業の縮小=人員削減となってしまいました。本来は文字どおり事業の建て直し、すなわち事業の強化の意味です。最近また新しい言葉が流行し始めています。アントレプレナーです。これを「起業家」と訳していますが、本来の意味とは少し違います。これはシュンペーターが『経済発展の理論』の中で使った言葉で、原書(ドイツ語)の翻訳が「企業者」となっているために「起業家」としてしまったのでしょう。本来の意味は「新結合(革新)の遂行者」であって、むしろ「革新者」なのです。ちなみに、企業者および企業者活動については多くの図書がありますので参考にしてください。ところでこの言葉がまた、人員削減の新しい“手法”として使われようとしています。それはこういう方法です。社内ベンチャー育成のために、「起業家」を募集するのです。応募する人たちは独立心が強く会社に対する忠誠心が薄いため、普段から何かと煙たがられている存在なのです。会社は募集した上で、厳しい条件で事業をやらせ失敗したら辞めざるを得ないように仕向けるのです。成功しても失敗しても会社にとっては都合が良いということになります。もちろん、こういう人こそ会社にとって必要なのですが。

参考文献:『経済発展の理論』(上)岩波文庫198ページ、A・H・コール『経営と社会』ダイヤモンド社、鳥羽欽一郎『企業発展の史的研究』ダイヤモンド社