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第4章 情報技術の活用

4-1 情報化課題の抽出(1)

ここで解説するのはあくまで業務効率化(ムダな業務の削減)のための情報化課題の抽出であって、コストダウンが目的です。一方、売上増大のための情報化課題の抽出については、次ページで解説いたします。

さて、これまで検討してきたのは人による業務の効率化です。人による業務の効率化が終了したならば、次に情報技術を活用した効率化を検討します。このために、情報化課題を抽出する必要があります。ところが、この情報化課題の抽出が難しいのです。なぜなら、情報化できそうなものは何でも情報化してしまい、その結果ムダな投資をしてしまうことが多いからです。実際には、安易にITベンダーの誘いに乗ってしまう企業が多いのです。

このため、最近では情報化に対して神経質になっていて、情報化には拒否反応する企業も増えています。そこで、ITベンダーではSaas(情報システムの賃貸)やクラウド・コンピューティング(必要な情報システムをまとめて賃貸)などを提案しています。政府も中小企業白書などで中小企業に適した方法だと紹介しています。それで、これらが最近流行しています。たしかに、システムを購入するのではなく借りるわけですから、使ってみて問題があったら止めることもできます。しかし、一旦導入してそのシステムを使い慣れてしまったら元に戻すのは非常に難しいのです。

ところが、これまで目的思考、重点思考、ユーザー志向、市場(顧客)志向等で検討してきた企業では、情報化に失敗することはありません。なぜなら、これらの考え方が、情報化のあるべき姿だからです。つまり、人による業務効率化も情報技術を活用した業務効率化もあるべき姿は同じだからです。

それはちょっと考えてみればお分かりかと思います。当たり前の考え方だからです。ここで改めて、目的思考、重点思考、ユーザー志向、市場(顧客)志向の4つの考え方について、考えてみてください。業務を情報化する場合のあるべき姿としてどれも必要な考え方であると思いませんか。もう一度、「2-6 業務効率化の基本的考え方」を読んでいただき、また、それぞれの考え方について詳しく書いてある「2-7」「2-8」「2-9」「2-10」を読んでいただきたいと思います。

したがって、目的思考、重点思考、ユーザー志向、市場(顧客)志向をそのまま当てはめて、情報化課題を抽出すればよいのです。情報化課題の抽出は、これまで人による効率化を検討してきたので、もうお分かりかと思いますが、人による効率化に限界を感じた部分を情報化すればよいわけです。つまり、人による効率化に加えて情報技術を活用すればさらに効率化できる部分を情報化課題にすればよいわけです。

それなら人による効率化の検討をしなくても最初から情報化すればよいではないかと考える人がいたらそれは、全くわかっていないと言わざるを得ません。そもそも、ムダな情報化によってムダな投資をする企業が後を絶たないのは、人による効率化を行わないからです。人による効率化を行ってから、情報技術を活用した効率化を行わなければなりません。なぜなら、何度も言いますが、人の意識(考え方・価値観)が変わらないからです。

人の意識(考え方・価値観)を変えるというのは、業務を実施する場合に、常に、目的思考、重点思考、ユーザー志向、市場(顧客)志向で業務を行うことができるようにすることです。これらの考え方が身についていれば業務を実施するときに自然に効率的な業務処理を行えるようになります。よって、情報化する場合においても、何を情報化すべきかがわかるわけです。

効率化課題が抽出できたなら、次にこれらの課題の優先順位をつけます。そして、優先度の高い課題から情報化を進めます。こうすれば、ムダな情報化、ムダな投資をすることはありません。

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